気付きにくい病気

気付きにくい病気

 白内障は、眼の中にある水晶体という組織が濁ることにより発症する病気です。水晶体は、直径が11mm前後で、カメラでいえばレンズの役割を果たしています。ですから、物を見るために、とても大切な器官の1つと言えます。ほぼ透明なラグビーボールのような形をした水晶体が、外から眼に入ってくる光を屈折させ、ピントを合わせて網膜に像を写します。
 その重要な役割を担っている水晶体が濁ると、眼の中に光が十分に届かなくなり、薄暗く見えたり、また光が乱反射し、逆に眩しく見えたりモノが二重に見えたりすることもあります。どちらにしても、見えづらくなり、視認性が落ちます。
 視力が落ちて初めて眼科を訪れ、白内障と診断される方もたくさんいらっしゃいます。また、白内障が発症して片眼が見えにくくなった状態でも、もう片方の眼で見るなどして放置してしまう方が多いのも事実です。痛みがないことも受診を遅らせる原因の1つと言えるでしょう。 白内障の濁り方には数種類あり、初めから視力を障害し、自覚症状が強いタイプもあれば、進行していても気付きにくいタイプもあります。
 視力に左右差があり、片眼の視力低下を自覚されない場合もあります。

進行性の病気

 白内障は進行性の病気です。受診(治療)が遅れれば遅れるほど、どんどん進行します。今は見えていても、やがて視力が低下し、手術が必要になる場合が往々にしてあります。
 白内障は進行するにつれ、水晶体は硬くなり、支持組織は脆弱化していくため手術は困難になっていきます。視力検査で急に視力が落ちた方などは、白内障を疑う必要があり、一度、検査を受けることをおすすめします。

加齢による白内障が
一般的

加齢による白内障が一般的

 加齢によって発症するケースが多く、早ければ40代から発症し、80歳を超えると、ほとんどの人が多かれ少なかれ白内障になると言われています。
白内障は、基本的には放置しなければ失明する病気ではありませんが、いったん発症すると、薬で完全に止めることはできません。最終的に治療するには手術しかありません。
 白内障は70歳前後の患者さまが多いですが、手術が成功して視界がクリアになると、全般的に意欲が増し、趣味を充実させたり、働かれたり、安全に動いたりされ、生活の質は向上すると思われます。

治療法は手術

治療法は手術

 手術によって濁った水晶体を取り出し、その代わりに新たに眼内レンズを挿入します。「手術」と聞いて、不安に思われるかもしれませんが、白内障の手術は一般的な治療で、日本で最も多く行われているものです。
特に当院は、プレチョップ法を用いた短時間の日帰り手術を専門にしていますので、患者さまはもとより、ご家族のご負担も軽減し、白内障の治療ができます。お一人で生活されている方も手術を受けられることは多々あります。
 手術を受ける、受けないは、最終的には患者さまご本人がご家族ともよく相談して、決めていただきます。
 ですが、進行性の病気であり、加齢とともに眼の組織も脆弱になり、日常生活に支障をきたすリスクも高まる可能性があり、白内障手術を受けるべきかどうかお悩みの方は、一度ご相談ください。